舞台照明を志す人へ


はじめに、神は「光あれ」と言われた。
そして、光があった。

と、いうところから旧約聖書は始まります。
天地創造の第一日目の出来事です。

劇場でも、照明係がフェーダーを上げて舞台を明るくしないと何も見えません。
当たり前ですが、光がないと見えないのです。

文字通り、照明係が舞台の成否を握っています。
それであればこそ、舞台照明に関わる人は、
その任務に誇りを持つと同時に、
できうる限り誠実で、献身的であってほしいものです。

視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚の五感のうち、
人間は自分の外側からの情報の80%を目から得ているといいます。
耳からの15%と合わせ、大部分の情報を視聴覚でとらえていることになります。

このことからも、劇場等で上演される芸術、芸能を楽しむ上で、
舞台照明がしめる役割の大きいことが理解できます。

演劇、芸能の長い歴史の中で、
舞台照明は他の部門に比べ最も遅れて出発し、
近代において最も目覚ましい進歩を遂げました。

舞台照明の設備も技術も最先端の技術を基にしています。
舞台照明を専門にする者には、実に幅広い知識や経験が求められます。

これらは、一朝一夕で身につけられるものではありません。
常に向上心を持って謙虚に知識、技術の習得に努め、
後進の指導にあたっていただきたいと思います。

「あつ、ウシがいる!」5歳の少女マリアが叫んだ。
エジソンが白熱電球を発明したのと同じ1879年のことでした。

マリアは奥深く潜り込んだ洞窟の中で、
極彩色の野牛の絵を見つけたのです。

こうして、有名なアルタミラの洞窟の壁画が発見されました。

今から2万年から5万年前、
我々の祖先はすでに人工光を用いていたことが推測できます。

こうして太陽光の届かない洞窟内で絵を描いていたということは、
視覚像を創造したいという激しい衝動の現れに違いありません。

この祖先のDNAは延々と引き継がれ、
現在、劇場ではわざわざ外光を遮断して真っ暗闇を作り、
一から人工の自然を作ろうとします。

人工的に作る自然であるが故に、
より真実らしく見えることもあります。

舞台照明を志す人は意識すると否とに関わらず、
このような原理の上に、
様々な技術を駆使して感動を生み出そうとします。




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