「色盲の舞台照明家」

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中野サンプラザホールにて、公益社団補人日本照明家協会「新人講座」

前稿「色付きの夢」に書いた、ような経緯で、「舞台美術コース照明専攻」への
転科が決まって、座学は後輩の1年生と、実技は同級の2年生と一緒という
変則的なカリキュラムで実技実習が始まった。

第一幕第三場

最初の実技実習は、シェークスピアの「ハムレット」第一幕第三場。
「主役登場の場」と言われる、作品の見せ場の一つです。

「ハムレット」の場合は、父王の亡霊が表れて、暗殺の真相が明かされる景です。

同じ舞台装置で、同級生たちが、思い思いの照明プランを競う実習です。

僕の番になって、作品が上演されると、ザワメキが起きた。

皆、異口同音に、「これはハムレットではない。
アラビアンナイトだ!」というのだ。

一般に、日本では、紫は高貴な色と言われ、
偉い人が病気になったりすると、
紫色のハチマキをしているシーンが映画などでよくある。
一方で、海外では、「紫色は、キチガイの色」とされることが多い。

そんな背景があって、父王が暗殺、という大奥の狂気事件の象徴として、
「紫色」を主題として選んだのを、ののしられたのである。

演劇学科の実習

演劇学科の実習は、先輩やOBも見に来るので、
それから、誰からともなく、「色盲の照明家がいる」というウワサが流れた。

紫系の別の作品(ジャズダンス)のイメージ画像

僕も耳にはしていたけど、
「アラビアンナイト? 良いじゃない。光栄だ」と気にしなかった。
僕が騒がなかったせいか、噂はまもなく収まった。幸いかな、である。

実際に騒いでいたら、かえって、目立って、面白い顛末になっていたかも、
しれないので、もしかしたら失敗したかもと、今頃になって思う時がある。

このようなエピソードは以前にもあった。
高校時代の「長靴事件」である。こちらは、僕が有名人になった例だ。
これは、稿を改めて、発表したい。

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